↓前回のつづき
本当は前回の記事で終わりにしようと思っていたのだが、地味な症状がじわじわぼちぼち続いたので、回復経過も一応記録しようと思う。
〇発症11日目
発熱はなくなったものの、気管支の通りが悪くなっているような息苦しさが残っている状態。特筆すべき症状はあまりない。喉のいがらっぽさは多少残っているが、副鼻腔炎(コロナの置き土産 )を治すフェーズに意識が移っており、気分はコロナ療養というよりは副鼻腔炎療養に近い。10:00ごろ、体温36.3度。『ヴァチカンのエクソシスト』と『パール』をハシゴ。24:30ごろ、体温36.6度。もう自分が病人だという自覚はほとんどなく、体温測定もなおざりになっている。
〇発症12日目
発熱症状がなくなったので、毎日の体温測定はやめてしまった。副鼻腔炎の薬はなんとか1日3回の服用を継続できている。10日分の処方箋を飲みきる頃に受診したかったが、予定とうまく噛み合わず、薬を飲み終えてから1日か2日空けての再診になりそう。ありがたいことに、職場からは在宅勤務でも構わないと言われているので、お言葉に甘えている。コロナ特有のしんどさはもうほとんど感じないが、すっかりコロナ以前の状態に戻ってしまった満員電車に揉まれて通勤するほどの元気と体力はない。
〇発症13日目
相変わらず息苦しさが抜けないものの、気分はまあまあ元気。でも普通食を食べる勇気はないから、お粥を食べ続けている。お粥といえば、レトルトの永平寺のお粥がすごくおいしいのを最近思い出した。昔はあんなに好きだったのに、なぜ今まで忘れていたのだろう。コンビニなどで売っているお粥の1.5倍くらいするので買うのに少し勇気がいるが、めちゃくちゃおいしいので食べたことがない人はぜひ試してみてほしい。楽天の通販でも買える。
ちなみに永平寺のお粥のレシピについて、吉村昇洋さんという料理研究家のお坊さんが紹介動画をYouTubeに投稿している。それによると永平寺のお粥は炊き粥で、沸騰しているお湯の中に生米を入れることでさらりとしたお粥にしているらしい。また、お米をお湯に入れた後はなるべく鍋をいじらないのが大事とのこと。
ドキュメンタリー番組などを観ると、永平寺の大庫院では大根が500本は入りそうなくらい巨大な鍋で日に3度お粥を炊いているようで、150人以上もの修行僧に食事を届けるのって本当に大変な重労働なのだと思い知らされる。YouTube動画で吉村さんが紹介している作り方は1/2合のお米で二人分とのことなので、単純計算すると永平寺は一日で100合以上ものお米をお粥にしている計算だ。
「一日で100合」と書くとかなり衝撃的な数字だが、一人分のお粥は一食あたり1/4合で、生米なら約37.5グラム、普通に炊くとお茶碗1/2杯程度(約82.5グラム)しかない。昼食や夕食にはおかずが何品かつくとはいえ、身体を壊さないか心配になってしまう。もっとも、永平寺の修行ではお経や坐禅、掃除の時間など、日々のスケジュールが非常に細かく定められていて、常に忙しく動き回っている様子なので、腹八分ならぬ腹六分で常に覚醒状態を保つための工夫なのかもしれない。
〇発症14日目
ついにオフィスに出社。無理をすれば発症12日目からでも出社できたとは思うが、無理をすると治りが悪くなるどころか後遺症まで悪化・長期化するのが新型コロナの特徴である(と私は思っている)ので、体力的にしんどいことを無理してやり遂げる必要は一切ないし、むしろ避けて正解だったと感じている。平日昼間のスカスカの電車ならともかく、朝晩のラッシュアワーでぎゅうぎゅうに押しつ押されつしながら移動した後に8時間労働するとか絶対無理。
普通食は発症10日目から食べて特に問題を感じなかったものの、焼き肉や揚げ物のようにハードなコッテリ系の食事よりは、鶏ひき肉のお粥だとか、ひじきの煮物だとか、あっさりした和食の方が安心感が強い。頑張ればコッテリ系も食べられるが、無理して通勤するのはちとしんどいなあというのと同じで、無理してコッテリ系の食事をするのはちとしんどいなあ、といった具合の回復度。おかしいな、発症0日目はインドカレーをぺろりと平らげるくらい元気な胃腸だったんだけどな……。
発熱や筋肉痛などの主症状は処方箋のおかげで無事に落ち着き、発症11日目以降は薬を飲んで静かにしてさえいれば「あれ?意外と元気なのでは??」と錯覚するほどだった。そのせいか、療養期間の最後の方では自宅療養の刺激のなさが苦痛になってきて、映画館に駆け込まざるを得なかった。配信サイトの映画を自宅のベッドに寝そべりながら見るのとは違う刺激がどうしても必要だったのだ。
発症0日目~10日目あたりの、ゾコーバや抗生物質の薬効を実感できるほど体調が悪い時期は身体的につらかったが、11日目~14日目の70%くらい体調が回復している時期もなかなか精神的につらかった。無理して動こうと思えば動けてしまう状態のところに、症状を薬で抑えこむ形でHPにバフをかけてしまっているので「本当は外出できるのにしない」「本当は家事ができるのにしない」かのように感じてしまうのだ。実際には体力も体調もそこまで回復していないのに。
とにもかくにも焦らないこと、回復を無理に急がないこと、薬によるブースト効果も込みで自分の体力を判断することが大事だと思う。幸い大きな後遺症もなく日常生活に復帰することができたが、二回目・三回目の感染ではどうなるか分からないし、10月からはゾコーバが公費負担対象外になって目が飛び出るくらい高い薬になるとも聞くので、今後も感染対策を怠らないよう気をつけたい。