※ネタバレありの記事なので、未視聴の方はご注意ください。
ジン(イドリス・エルバ)がアリシア(ティルダ・スウィントン)のためにイスタンブールのホテルで用意する、あの大きな銀のお皿に山盛りになった黄金色のお菓子。"Chickpea, cloves, and pistachio. It melts is your mouth."と作中で何度も紹介されるのに、一切名前が出てこないあの四つ葉の形をしたお菓子は、ペルシア語でنان نخودچی (Nan-e Nokhodchi)、あるいはشیرینی نخودچی (Shirini Nokhodchi) と呼ぶらしい。(日本語のカタカナ表記だと、名前の後半部分は「ノホチ」になる)
イランの古代の王様ジャムシードがイラン暦の新年(ノウルーズ)に砂糖を発見したという逸話から、イランでは新年のお祝いに七種類の甘いお菓子を食べる風習があり、Nan-e Nokhodchiはそのうちの一つに数えられる伝統菓子なのだそう。*1
日本語では「ペルシア ひよこ豆粉 クッキー」や「ペルシア ベサン粉 クッキー」で検索した方が、料理名で調べるよりも出てくる情報が多いようだ(「イラン ノホチ レシピ」「ペルシア ノホチ レシピ」で検索しても、レシピがほぼ出てこない)……が、アリシアが食べていた「あのお菓子」の作り方となると、情報が全く出てこない。というわけで、『アラビアンナイト 三千年の願い』に登場した「あのお菓子」をいつか自分で作るために、英語圏でアクセス可能なレシピを和訳してみた。
■用意する材料
植物油(キャノーラ油、ココナッツ油等) 1/2カップ
ふるいにかけた粉砂糖 3/4カップ
カルダモンの粉 小さじ1杯
ローズウォーター 大さじ1/2杯
ひよこ豆粉(ベサン粉)1と3/4カップ
砕いたピスタチオ(粉末でもOK)大さじ2杯~3杯
(1 teaspoon=小さじ1杯 (5ml)、1 tablespoon=大さじ1杯 (15ml)、1 cup=250mlで換算)
参考にしたレシピはこちら: Persian Chickpea Cookies with Pistachio (Nan-e Nokhodchi) - Ahead of Thyme
■作り方
①ボウルに植物油、砂糖、カルダモン、ローズウォーターを入れて混ぜ合わせる。ハンドミキサーを使って2~3分ほど混ぜ、タネが白っぽいクリーム状になったらOK。
②ひよこ豆粉(ベサン粉)をふるいかけながらボウルに入れ、低速で1分ほど混ぜる。生地がベタベタしなくなったらOK。
③生地が台にくっつかないように、ひよこ豆粉(ベサン粉)を軽く広げる。10分ほど生地をこねたらOK。(生地はモソモソぼろぼろした感じになる)
④ラップで生地をぴっちりと包み、2時間ほど常温で寝かせる。冷蔵庫に入れてはいけない。
⑤生地を寝かせているあいだに、オーブンと天板の準備を進める。オーブンは摂氏150度で予熱しておく。*2また、クッキングシートを天板に敷いておく。
⑥生地が台にくっつかないように、ひよこ豆粉(ベサン粉)を軽く広げる。生地の高さが3/4インチ(約1.8センチ)になるよう麺棒などで伸ばしたら、直径1インチ(約2.5センチ)のクローバーの形をしたクッキー型でくり抜く。余った生地は丸めて伸ばし、生地がなくなるまでクッキー型でくり抜く。
※このレシピは30個ほど作れるとのこと。
⑦クッキー生地を天板に並べる。この時、クッキー生地とクッキー生地のあいだに1インチ(約2.5センチ)ほどの隙間を空けておく。クッキー生地を天板に並べたら、砕いたピスタチオをクッキーの上に乗せる(ピスタチオ粉末でもOK)
⑧天板をオーブンの中段に入れ、15分~20分ほど焼成する。クッキー生地が明るい黄金色になったらOK。
⑨クッキーをオーブンから取り出し、粗熱が取れたら冷却ラックに移して完全に冷めるのを待つ。脆いクッキーなので、移動させるときは形が崩れないように注意すること。
■保存について
クッキーは密閉容器で最大4日間まで保存可能。
冷凍庫に入れる場合は最大1ケ月間まで保存可能。
英語圏で紹介されているレシピだと、サラダ油などの植物油以外に、ココナッツ油やギー(牛乳やバターを混ぜて煮詰めた食用オイル)を使った作り方もメジャーなようだが、Ahead of Thymeのレシピなら日本でも入手しやすい食材が多いので、参考にしやすいと思う。
Ahead of Thymeのレシピには書いていないけれど、他の人のレシピだと「無塩ローストを使用」と指定が入っていることもある。有塩か無塩かで迷ったら無塩のピスタチオが無難かもしれない。
また、砕いたピスタチオをクッキー生地に振りかけるのではなく、クッキー生地の中心にそのままズブッと刺すタイプのレシピもある。この場合、完成したクッキーの見た目はグリーンピースののった焼売みたいになる。(映画でアリシアが食べていたのは、こちらのズブッと刺したタイプ)
これ以外にも、レシピによっては「生地を冷蔵庫で1時間寝かせる」などの細かい違いがある。
ちなみに調べた範囲で一番入手困難だと感じたのが、葉先のとがったクローバーの形のクッキー型だった。ひよこ豆は炒ってフードプロセッサーにかければ粉末にできるし、ローズウォーターやピスタチオも通販でどうにか入手可能なのだが、直径2.5センチのクッキーの抜型(葉先のとがった四つ葉限定)だけは入手方法が見つからず……紫陽花の形のクッキー型もよく似た形ではあるけど、葉先が丸みを帯びているので「似てるけどやっぱり違う」案件。雰囲気がよく似た形の抜型を見つけても、他のクッキー型と一緒に売られているセット品か、直径5センチとサイズが大きすぎたりして……いっそ牛乳パックで自作した方が早いかも?
一点気になるのが、ノホチのレシピはカルダモンを使用したものが多く、クローブを使ったレシピがなかなか見つからないこと。クローブ(丁子)なので、入っていてもおかしくはないと思うけど……地域によってはクローブを入れるレシピもあるのかな?